隅っこが楽しい家

デザイン・コンセプトを共有する2棟のテナントビル。
「名店を入れ、大山町の街を良くしたい」そんなオーナー様の願いを叶えながら、2棟に統一感を持たせるよう配慮しています。

隠れ家的名店がひしめく代々木上原

隠れ家的名店がひしめく代々木上原に当社が設計担当させていただいた、2つの商業テナントビル。オーナー様は上原駅周辺にいくつかビルをお持ちの方です。

商業テナントビルは、すなわち収益物件ですから、土地の状況を慎重に読む必要があります。まず代々木上原駅ビルが完成してから人の流れが変わったこと、マスコミなどでおしゃれな街として頻繁に取り上げられている状況、一方、大山町を中心とする高級住宅街の存在などです。

代々木上原ビルディングⅠ

代々木上原駅の西側、大山町にあるビルです。地下1階、地上3階のテナントビルです、ワンフロアは約120㎡です。

いろいろ、オーナー様と検討していくと、代々木上原地区が「隠れ家的名店」と言われているけれども、大きなフロア面積を持つビル自体が非常に少ないことに行きつきました。必ず、30坪オーバーの床がほしい人がいるに違いないと考えました。

確信を持って、オーナー様と進めていくのですが、銀行さんがフロアを2つに分けてほしいと言ってきます。大きな面積は空室になってしまったときのリスクを心配してくださっているのです。銀行さんに逆らうのは、なかなか難しいんです。
そこで、停滞した空気をブレイクするには、「2つに分けて貸すことも、一体で利用できるようにもすればいいんですよね」、言ってしまいました。
サービス精神と技術者魂が言わせるんですよ、こういう時、これがとても設計が大変になるはじまりでした。また、オーナーからの要望は、医療・物販・飲食がすべて入ることができる状態の実現です。

計4フロアが、4店舗から最大では8店舗で貸すことができ、3つの用途にすべて対応。
用途別の法規をクリアし、配管配線などの設備系統を分けるなど、仮定の上に仮定を載せて想定して設計する、何か決まっていてる方が楽だってことを痛感しました。

そして、オーナー様のご要望、名店を入れたい。大山町のセレブに来てほしい!
(照れ隠しで、こういう言い方ですが、街を良くしたい!って思いが感じられます)
それにはグレード感が大事です、石張りをもちい、階段にアクセントの屋根を設け、外観を引き締めました。

しっかり入ってくれた、和食の名店にはオーナー様が通いづめていらっしゃるようです。私も一度、ご一緒しましたが。

ところで、私たちの苦労は別に、やはり私たちの読み通り4フロアすべてが2つ割りされることなく、入居頂きました。

代々木上原ビルディングⅡ

ビルディングⅠの竣工を待たずに、始まったビルディングです。こちらは代々木上原駅の東側の商店街側にあります。ビルディングⅠより、やや庶民的な街中です。

こちらは、当初1階店舗・上階は賃貸で計画を始めましたが、ビルディングⅠの30坪オーバーのフロア面積への反響が大きく。全フロア、テナントビルへ変更していきました。
(この時には、もう銀行さんも応援してくれました)
こちらも、医療・物販・飲食がすべて入ることができるという条件です。

ビルディングⅠの経験も踏まえ、テナント入居の時にネックになる、用途変更の確認申請を出さないで良いように100㎡未満にフロア面積を調整するなど工夫を行っています。
(もちろん総合計は、容積率いっぱいにしています。)
角地という好立地も踏まえ、目立つ外観との要望もあります。

目立ち方によっては、業種を選んでしまいます。打ち放しコンクリートは使いたいが、周辺には打ち放しのビルがたくさんあり差別化が図れないということで、最終的には2つの案に絞られました。

一つは、コンクリート格子による表現、もう一つはビルディングⅠの要素も踏まえつつガラスを印象的に使った案です。

そして完成したビルは、角地に印象的な不思議な形を作り出しました。竣工前に、すべてのテナントさんが決まり、大人気物件となりました。

2棟は、歩いて10分ほどの距離です。同じ施主から、2連続で依頼され、敷地状況など読みながら、タッグを組んで取り組んでいったということを通じて施主から信頼されている事、粘りつよく問題解決にあたること、などが評価されるという感じがいいかなと思い、2作品で1項目扱いも良いと思いました。

オーナーが名店を入れたいというのも、結局は街全体を良くしたいという思いの表れです。

ちなみに、この2棟のほかに、同程度の規模の物件を2棟持っていらっしゃいます。この物件に限らず、当社は連続発注が多いのが特徴でもありますので・・・
デザイン・コンセプト共に2棟は、根底は同じで、バラバラにも見えづ統一感を持たせるよう配慮しています。