既存の歯科医院に隣接する土地を購入されたのをきっかけに建て替えとなった物件です。
院長先生は数社で設計を検討されたようです、当方に依頼いただいたのは、質問に対する答えが適切で早かった点を高く評価したとおっしゃっていただきました。
計画では、様々な検討をしましたが、最も大きかったのは、建て替えのプロセスでした。すなわち「継続して開業すること」が重要になります。なにより「患者さんの継続的な治療」を行う必要があることです。
建て替え期間、休業ともなれば治療の継続性はもとより、歯科衛生士さんはじめ多くの方の雇用の問題もあります。仮の医院と言っても、規模・経費の面で多くの問題をはらみます。
まず、隣地に新医院を建て、引っ越し後旧医院を取り壊すというのが通常の考え方ですが、ご要望の新医院の規模は隣地だけでは収まらない大きさでした。
これらを解消するため、新医院を2つの用途に区分しました。治療に必要なゾーンと、受付や予防セミナーなどに使う部分にです。そして隣地には「治療ゾーン」を新築、既存医院取り壊し、新築「治療ゾーン」に「受付や予防セミナーゾーン」を旧医院跡地にまたがるように増築しました。これにより、治療の継続を確保することができました。
法的には、「治療ゾーン」に「受付や予防セミナーゾーン」を増築とはできない制約が多かったため、「治療ゾーン」完成時に仮使用申請を行い、あくまで「受付や予防セミナーゾーン」を合わせた完成の工事中に使用許可を得るという工夫をしました。
このような、複雑なことを行ったのは、ひとえに「治療の継続性」という、医院の最大の使命を確保したいという、院長先生の熱意に動かされ、無理の中に活路を見出したのが実際でした。